社員一人ひとりの人生に関わる人事というシゴトの面白さ #2
米国事業会社SIOS Technology Corp.は「Best Places To Work in South Carolina」を3年連続で受賞。人事全般を担当する坂本真琴さんに、どのような取り組みが実を結んできたのか話を聞きました。
カルチャー2022年11月21日
→社員一人ひとりの人生に関わる人事というシゴトの面白さ #1 はこちら
「Best Places To Work in South Carolina」を連続で受賞
―― 2020年、2021年、2022年と3年連続で受賞した「Best Places To Work in South Carolina」について教えてください。
坂本 サウスカロライナ商工会議所が主催する「Best Places To Work in South Carolina」は「サウスカロライナ州で最も働きがいのある会社」を調査し、表彰するもので、今年で17回目となります。一昨年までは大規模事業者(社員数250名以上)と中小規模事業者(社員数15-249名)の2部門制でしたが、昨年から中小規模事業者(社員数15-249名)が中規模事業者(社員数50-249名)と小規模事業者(社員数15-49名)に分けられ、3部門制になりました。
「Best Places To Work」は米国の他の州でも実施していますが、社員数などいくつかの参加条件があります。STCは前回(#1)述べたように北米に3拠点がありますが、サウスカロライナにあるR&Dセンターは社員数の条件を満たす拠点でしたので、こちらで調査に参加することにしました。
2022年8月、R&Dセンターは「2022 Best Places To Work in South Carolina」の小規模事業者(社員数15-49名)部門でノミネートされ、21位にランクインしました。
この賞にノミネートされるかどうかは、雇用主と従業員の双方に対するアンケート調査(サーベイ)により決まります。雇用主には、福利厚生や社員が取得する休暇制度、人材の育成や教育の状況、DEIつまりDiversity(多様性)、Equity(公平性)、Inclusion(包括性)の取り組みなどについて尋ねます。一方、従業員には、組織におけるリーダーシップ、コミュニケーションの状況、マネージャーとの関わり、給与、福利厚生、専門性の教育、仕事への満足度などを尋ねます。サウスカロライナ州に在住でなくても、R&Dセンターで行われるプロジェクトにリモートワークで参画する他の州、国に在住するエンジニアなどもアンケート調査対象に含まれます。
人事全般を担当する私を含めて、STCのCEOである喜多やCOOである新井とは「表彰されることがゴールではない」という認識でいます。
実は、この調査に参加する大きな目的の1つは、従業員の声を匿名化された統計データとして得ることです。「Best Places To Work」を通じて得られるデータ化された社員の声に基づいて、どこをどのように改善していけばよいのか、それを施策として役立てて、社員の働きやすい環境につなげることが主眼です。
―― なるほど。そうした働きやすい環境を作るための施策の一例を教えてもらえますか?
坂本 STCではかねてより、社員間に共通する思いがありました。それは、会社の方針や上層部の考えが現場に伝わってこない、何をしたいのか見えにくい、といった不満です。2020年に実施した調査で得られたデータにもそうした思いが浮かび上がっていました。さまざまなバックグラウンドやカルチャーを持つ社員です。働く場所や時間帯も異なります。リーダーシップ層とのコミュニケーション不足は否めませんでした。
それをCOOの新井を含めたメンバーも理解し、対策を講じました。
一例は、それまで四半期に一度開催していた全社規模のミーティングの頻度を月次開催に増やしたことです。また、STCの各部門や拠点でどのような活動をしているかをお互いに知ることができるウィークリーレポートを、毎週メール配信する取り組みを始めました。
また、コロナ禍前にたびたび開催していた会社主催のイベントの代わりに、Zoomを使ったオンラインイベントを社員の発案で企画したりしています。ほかにもSlackを使って休暇中に家族旅行でこんなところに行った、という写真を共有したりしています。拠点を超えてお互いの顔が見えたり声が伝わったりする点では、以前よりもコミュニケーションは活発になっているかもしれません。
社員の回答データを見ると、2020年に比べて満足度などの数値は全体的に上昇していることがわかりましたが、そこに満足せず、一人ひとりが活躍しやすいを環境づくりや取り組みをさらに進めたいと考えています。(#3へ続く)