社員一人ひとりの人生に関わる人事というシゴトの面白さ #1
米国事業会社SIOS Technology Corp.で人事全般を担当する坂本真琴さんは、この10年ほどで社員の意識に変化がみられると語ります。キーワードは「belonging」。同じ組織に属する誇れる仲間と仕事をする一体感や安心感を意味する言葉です。これまでの取り組みを聞きました。
カルチャー2022年11月15日
北米を中心にグローバルに展開するSIOS Technology Corp.(STC)
―― まずはSTCの概要について教えてください。
坂本 サイオス株式会社の連結子会社であるグループ会社には、サイオステクノロジー株式会社(以下、サイオステクノロジー)とSIOS Technology Corp.(以下、STC)があります。サイオステクノロジーは国内を拠点に活動しています。一方のSTCはカリフォルニア州サン・マテオに本社を置き、サイオステクノロジーの自社主力製品であるLifeKeeperなどのソフトウェアのR&D(研究開発)、および北米を含む海外拠点でのビジネス展開を担っています。
STCの社員は2022年8月時点で50名弱です。うち日本人は私を含めて7名。社員は、人事総務や財務経理など主に本社機能(一部、セールス部門を含む)を担うサン・マテオ、R&Dセンターがあるサウスカロライナ州コロンビア(サウスカロライナ大学内)、ボストンに比較的近いマサチューセッツ州メイナード、という北米3つの拠点のほかニュージャージーなどの他州、また、北米以外のイギリス、ドイツ、シンガポールなど各地域に在住しています。最も社員数が多い拠点はコロンビアで、主にソフトウェア開発エンジニアが25名ほど在籍しています。
2020年初頭から拡大し始めた新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)の対策について、米国では州によって対応はまちまちです。とはいえ、当社のクライアントを含む企業の多くは、社員を会社に長居させず、早く家に帰す、という動きが目立ちました。
STCでもサイオスグループ全体の方針に沿って2020年3月からエンジニアやセールス、バックオフィスを含む全員がSlackやZoomを活用したリモートワークに移行しています。Webミーティングの際にはなるべくどの国の参加者も営業時間帯に入るように調整しながら進めています。
STCではCOVID-19拡大以前から、エンジニアを中心にリモートワークや社員に負担をかけないフレキシブルな働き方に努めてきました。私は自宅のあるサンフランシスコからサン・マテオの本社まで自動車で通勤していますが、渋滞に巻き込まれると最悪の場合、往復2時間以上かかることがあります。それは時間がもったいない、ということで週に1、2回の頻度で在宅勤務が認められていました。子供がまだ幼かった子育て期間はありがたかったですね。
その意味で、STCのメンバー全員がリモートワークにシフトしたときも適応しやすかったのではないかなと思います。Slackなどを用いたコミュニケーションにそれなりに慣れていましたし、在宅で働くそれぞれの環境に格差が生じないように、モニターなどの必要な設備購入費を補助したり会社で使い慣れた椅子などの備品を持って行ってもらったりと、できる限りの範囲ですが工夫を凝らしてきました。
ただ、拠点内の社員同士がオフィスの一角でコーヒーを飲みながら談笑したり、仕事が終わった後に軽く打ち上げを兼ねて情報交換したり、といった気軽なコミュニケーションができなくなったのでメンバーも寂しさを感じていることが伝わってきました。以前は拠点を超えてメンバーが集うイベントなども時々開催していましたが、このご時世ですので、それも見送ってきました。(#2へ続く)