先駆者に聞く!「クラウド導入のお悩み解消セミナー」開催報告
新技術活用のコツ、エンジニアの教育や情報のキャッチアップなど、クラウドを利用する上で避けて通れない課題を、先駆者たちはどのように乗り越えてきたのでしょうか。2016年9月2日、渋谷で開催されたトークイベント「クラウド導入のお悩み解消セミナー」では、示唆に富む指摘が得られました。
テクノロジー2016年9月12日
2016年9月2日に開催された「先駆者に聞く! クラウド導入のお悩み解消セミナー」(マイクロソフトとサイオステクノロジー共催)は、異なる業種・業界の大手企業のキーパーソンを囲む、観客参加型の交流会でした。
会場は、渋谷のカフェ&バーVandalism。
遊び心を刺激するくつろいだ空間で、参加者が他業種の方と懇親を深め、クラウドを活用したビジネスのアイディアや課題解決のヒントをつかんで頂くという企画です。
ファシリテーターは、サイオステクノロジー株式会社 プロダクトサービス事業企画部長 兼 技術部門長の黒坂肇
登壇者としてお招きしたのは、クラウドを社内のビジネスに積極的に活用するユーザー部門や情報システム部門のキーパーソンの皆様です。クラウドを活用するに至った背景や利用状況、今後の展望などを語って頂きました。
まずは、リクルートホールディングスのグループ会社であるリクルートマーケティングパートナーズで、ビッグデータエバンジェリストを務める萩原静厳氏です。
株式会社リクルートマーケティングパートナーズ まなび事業本部 オンラインラーニング推進室 ビッグデータエバンジェリスト 萩原静厳氏
同社でマーケティング分析などを行うデータサイエンティストの萩原氏は、「システムの方向性については、私はクラウド派です。しかし、サービス開発やデータの分析に関わる『人』は内製していくことが大切だと考えています」と述べました。「そのため、チームメンバーのエンジニアとは密に情報交換をし、次のビジネスにつながる新たな技術トレンドを常に探るようにしています」と日頃心がけている点を説明しました。
同社では、場所や時間を選ばず英語学習ができる「スタディサプリ ENGLISH」を提供しています。萩原氏はさらに、ユーザーに適した学び(アダプティブ・ラーニング)を提供する新たなサービス開発にも現在、取り組んでいるところです。
マネックス証券からは、同社の企画開発部門であるマネックス・ラボ室長の飯田敦氏がディスカッションに参加しました。同社が提供するサービスの1つに、投資信託による資産運用シミュレーションアプリ「answer」があります。このアプリは、資産設計アドバイスツール「MONEX VISION β」などの開発で培った経験や知見を活かして、マネックス・ラボで開発されたものです。
飯田氏の説明からは、事業成長に不可欠な新サービスの構想を形にしているマネックス・ラボにおいても、今日ではクラウドが大きな役割を演じていることが明確にうかがえました。
マネックス証券株式会社 執行役員 マネックス・ラボ室長 飯田敦氏
ディスカッションの後半では、情シス部門を束ねる立場から、いかに安全性と安定性を担保した上で事業の中に新技術を導入するべきか、人材をどう育成するかについて議論を深めました。
中でも、住友電工の大釜秀作氏が述べた組織づくりに関する話題は、サイオスの情報システム部門長を兼務する黒坂にも共通する思いがあったようです。
住友電気工業株式会社 情報システム部 情報技術部 主幹 兼 研究開発本部 サイバーセキュリティ準備室 主幹 大釜秀作氏
大釜氏は、若いエンジニアの中から住友電工のシステム開発チームを牽引するリーダーが誕生することを期待しています。そうしたリーダーが備えているのは、新しい技術に関する好奇心だといいます。
「仕様書に沿って言われた通りにプログラムを作るだけでなく、新しい領域へ挑戦する姿勢を見せてほしい」と強調しました。
ディスカッションには、Microsoft Azureを提供するマイクロソフト日本法人のエバンジェリストも加わりました。ユーザーがベンダーに求めるものが、クラウドの出現以降、「OSやソフトウェアの違いではなく、やりたいと思うビジネスをいかにして実現できるか」に、大きく変化してきた点に触れました。
左から、日本マイクロソフト株式会社 クラウドソリューションビジネス統括本部 グローバルブラックベルトセールス部 OSS Japan Tech Lead 藤田稜氏と、同じく日本マイクロソフト株式会社 クラウドエンタープライズ ビジネス本部 OSS戦略担当部長 新井真一郎氏
登壇したユーザー企業各社がクラウドを適用するビジネス領域は異なるものの、導入に至るまでの経緯や社内での調整、利用開始後に遭遇した出来事、エピソードには共通する部分が少なからずありました。
この日、会場にはクラウド導入に関心を持つ、もしくは導入段階にある企業の担当者が多く詰めかけました。ディスカッションの合間に、スマホを使った来場者アンケートを実施。集計結果をスクリーンにリアルタイムに表示し、来場者の関心事を登壇者と共有しながら、インタラクティブにトークが展開されました。
このトークイベント、今後も継続して開催する予定です。サイオスでは目下、次回イベントのテーマを鋭意企画中。改めてご案内しますので、どうぞお楽しみに!